日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年12月22日悩んでいる人には質問してあげよう

 

★就活生Hさんとの会話


ベーシックコースには就職活動を控えた大学生の方も多数受講されています。

先日、ベーシックコースを受講している大学生のHさんに近況を尋ねたところ、こんな会話になりました。

Hさん:今、警備やセキュリティ関連の業界2社から内定をもらっています。どちらも印象はいいのですがその業界を監督する官庁にも興味があるので、正直、迷っています。
私:そうですか。内定をもらっている2社や監督官庁にはどんな印象がありますか?
H:A社はとてもフレンドリーで雰囲気がよさそうです。B社はやっていることが革新的でワクワクしますが、社風は少し冷たいですね。監督官庁は大きな仕事ができそうなのがとても魅力的ですが、やはり杓子定規で官僚的だな、と感じる応対がありました。
私:なるほど。Hさんはよく組織を観察して的確な意見を持っていますね。では最終的に1社に決める場合に一番大切にしたい要素は何なんでしょうね?
H:ん~。今自分で話していて気付いたのですが、私はどうも『この人達と一緒に働きたい!』と思うところを選びそうな気がしてきました。そうするとA社かな。A社は業務面でもワクワク感がありますしね・・・

私は質問をしただけですが、Hさんは自らの言葉で判断する決め手に気付いたようでした。


★質問して考えてもらう


悩んでいる人に相談されると、私たちは「こうした方がいいよ」と、ついついアドバイスをしたくなります。

しかし、私の経験からすると、悩んだり迷ったりしている人に「絶対にこっちの方がいいよ」とか「それは最悪だからやめた方がいいよ」と言っても「そうかなぁ・・・」という反応で、そのアドバイスを受け入れてくれないことがよくあります。

そうした経験を重ねている内に、(もっと相手の話を聞かないといけないかも知れない)と思い始めました。

そして、まず相手の話を聞くことにしたところ、上のHさんのように、話しているうちに悩んでいる人が自分で解決してしまうことが度々あることに気付いたのです。

それ以来、私は相談された際は、質問をして相手に考えてもらうようにしています。


★悩んでいるのではなく、決め手を求めている


私が質問しながら相手の話を聞いている際に感じることは、

「ああ、この人はもう自分の中で結論は出ているんだな」

ということです。

「AとBのどちらにしたらいいか、悩んでいるんです」という人の話を聞いていると、明らかに(もうBに決めているな)と感じることがよくあるのです。

つまり、自身は「悩んでいる」と思っていても、実は悩んでいるのではなく「これにしよう」と決断する決め手に欠けている、というのが実態なのではないでしょうか。

私自身、過去を振り返ってみると、結論は出ているが決め手に欠けて決断に二の足を踏んでいた、ということが実によくあります。

だから、多くの人が何かを決めるために背中を押してもらうものを求めている、探している、という感覚はよくわかります。

大昔はそれが占いだったのでしょう。

太古の中国では戦争を始める前に必ず吉凶を占ったそうです。

しかし、実際は吉が出るまで占いを繰り返したそうですから、これなども戦争をするという結論は出ているが背中を押すものを求めている典型例なのでしょう。

人から相談された際は、質問をしながら話を進めてみてください。

きっと、相手は自分で解決策に気付くと思います。

そして、気付かせてくれたあなたに感謝することでしょう。


★コミュニケーションの基礎を身につけましょう!


上に述べたように、相談された際は質問で会話を進めるとよいのですが、実際にどのように質問すれば良いかわからない、という人もおられると思います。

日本話し方センターのベーシックコースでは、そうした場合の質問の仕方などにも応用できる、コミュニケーション全般に関する基礎的なスキルを深く学べる講座です。

あがり症を治すことは当然のことながら、相手に伝わり、共感してもらえる話し方など、その学びは多岐に渡ります。

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